「親知らずを抜いたら、思っていたより頬が腫れてきた」「この痛みはいつまで続くの?」
抜歯の翌日や翌々日、鏡を見て不安になられた方も多いのではないでしょうか。
親知らずの抜歯、とくに歯ぐきを切開して骨を削るような抜歯は、口の中の小さな外科手術です。そのため、ある程度の腫れや痛みが出るのは体の自然な反応です。大切なのは、「順調に治っている腫れ」と「受診が必要な腫れ」を見分けることです。
今回は、抜歯後の腫れ・痛みがいつピークを迎え、いつ頃引いていくのか、そして早く落ち着かせるための過ごし方について、口腔外科専門医が解説いたします。
腫れ・痛みはいつまで続く?経過の目安
一般的に、痛みは抜歯当日〜翌日、腫れは2〜3日目にピークを迎え、1週間ほどで落ち着いていくことが多いです。ただし、歯の埋まり方や処置の内容によって個人差があります。
抜歯当日
麻酔が切れる頃から痛みが出始め、もっとも強くなりやすい時期です。唾液に血がにじむ程度の出血が続くこともあります。
1〜2日目
痛みは痛み止めでコントロールできる程度に落ち着いてきます。一方で、腫れは徐々に強くなっていきます。
2〜3日目(腫れのピーク)
腫れがもっとも強くなる時期です。口が開きにくい、飲み込むと痛むといった症状が出ることもありますが、痛みは徐々に弱まっていきます。
4〜7日目
腫れが引いていき、痛みもほとんど気にならなくなります。頬に黄色っぽい内出血(あざ)が出ることがありますが、1〜2週間で自然に消えていきます。
1週間前後
抜糸の目安となる時期で、通常は痛みも腫れも落ち着いています。抜いた穴は、数週間かけて歯ぐきで封じられていきます。
下の親知らずや、骨の中に埋まっていた親知らずは、上の親知らずやまっすぐ生えている親知らずに比べて腫れが出やすい傾向があります。
腫れ・痛みを長引かせないための過ごし方
抜歯後2〜3日の過ごし方で、腫れや痛みの出方は大きく変わります。次のポイントを意識してみてください。
強いうがいは控える
抜いた穴には血の塊(かさぶたのようなもの)ができ、傷口を守ってくれます。何度も強くゆすぐとこの塊が流れ、治りが遅れる原因になります。抜歯当日はゆすぎを控え、翌日以降も優しく口に含んで出す程度にしましょう。
冷やすなら「ひんやり」程度に
腫れが気になるときは、濡らしたタオルなどで頬の外側を軽く冷やすと楽になります。氷で強く冷やし続けると血流が悪くなり、かえって治りを妨げることがあるため注意してください。
当日は血行が良くなることを避ける
湯船に長く浸かる、飲酒、激しい運動は、出血や腫れを強めることがあります。抜歯当日はシャワー程度にし、ゆっくり過ごしましょう。
喫煙はできるだけ控える
喫煙は傷口の血流を悪くし、治りを遅らせるだけでなく、後述するドライソケットのリスクを高めます。少なくとも数日間は控えることをおすすめします。
食事は反対側で、やわらかいものを
麻酔が切れてから、おかゆやうどん、豆腐など刺激の少ないやわらかいものを、抜いた側と反対側で噛んでください。辛いものや熱いもの、小さな粒が穴に入りやすいものは数日間避けると安心です。
痛み止めは指示どおりに
処方された痛み止めや抗菌薬は、指示された用法を守って服用してください。抗菌薬は症状が落ち着いても、自己判断でやめずに飲みきることが大切です。
こんなときは早めにご相談ください
次のような症状は、順調な経過とは異なる可能性があります。我慢せず、抜歯を受けた歯科医院にご連絡ください。
・3〜4日たっても痛みが引かない、むしろ強くなってきた
・1週間以上たっても腫れが引かない、再び腫れてきた
・ガーゼを噛んでも出血が止まらない
・38℃以上の発熱が続く、膿が出る
・抜歯して数日たっても、唇やあごのしびれが残っている
ドライソケットに注意
とくに注意したいのが「ドライソケット」です。抜いた穴に血の塊がうまくできず、骨がむき出しになってしまう状態で、下の親知らずの抜歯後に起こりやすいとされています。
一度落ち着いた痛みが抜歯の2〜4日後ごろから再び強くなり、痛み止めが効きにくい、口の中に嫌なにおいがするといった症状が特徴です。自然に治るまでに時間がかかることもあるため、当てはまる場合は早めに受診して処置を受けましょう。
腫れを抑える鍵は「抜歯前の診断」です
抜歯後の腫れや痛みは、処置にかかった時間や、歯ぐき・骨への負担の大きさに大きく左右されます。つまり、抜歯後の経過は「抜歯する前」から始まっています。
当院では、必要に応じて歯科用CTを撮影し、歯の根の形や、神経・上顎洞との位置関係を立体的に把握したうえで処置に臨みます。事前に「どこをどれだけ切開し、どの方向に分割するか」を計画できるため、処置時間や負担を最小限にとどめることにつながります。
院長は日本口腔外科学会の口腔外科専門医で、大学病院や大阪府下の総合病院で口腔外科に携わってきました。骨の中に埋まっている親知らずなどの難症例にも対応しています。「抜歯後に腫れるのが心配」という方も、まずは一度ご相談ください。
※関連記事:他院で「大学病院を紹介します」と言われた親知らず
よくある質問
Q. 抜歯の翌日は仕事や学校を休んだほうがいいですか?
A. デスクワークなどであれば、翌日から普段どおり過ごせる方も多くいらっしゃいます。ただし腫れのピークは2〜3日目のため、大事な予定や体を使うお仕事がある方は、抜歯日を週末前にするなど余裕をもった日程をおすすめします。
Q. 歯みがきはしてもいいですか?
A. 口の中を清潔に保つことは大切です。抜いた場所には歯ブラシを当てないようにし、それ以外の歯はいつもどおり磨いてください。
Q. 抜いた穴に食べ物が詰まったらどうしたらいいですか?
A. つまようじや指で取ろうとすると傷口を傷つける恐れがあります。軽くゆすぐ程度にとどめ、気になる場合は歯科医院にご相談ください。
Q. 2本同時に抜くと腫れはひどくなりますか?
A. 上下2本を同じ側で抜く場合は、通院回数を減らせる一方、食事などで反対側を使えるため、同時に抜歯することも少なくありません。歯の状態によって適した方法は異なるため、診断のうえでご提案します。
Q. 抜歯の費用はどれくらいですか?
A. 親知らずの抜歯には健康保険が適用されます。3割負担でCT撮影を含めた場合、おおよそ1万円前後が目安です。保険診療のお支払いは現金のみとなっておりますので、余裕をもってご準備ください。
まとめ
親知らず抜歯後の痛みは当日〜翌日、腫れは2〜3日目がピークで、1週間ほどで落ち着いていくのが一般的な経過です。強いうがいや喫煙を控え、穏やかに過ごすことが早い回復につながります。痛みがぶり返す、腫れが引かないといったときは、早めにご相談ください。
泉佐野市のくりもと歯科・口腔外科クリニックでは、口腔外科専門医がCTで綿密に診断したうえで親知らずの抜歯を行っています。泉南市、阪南市、貝塚市、岸和田市など近隣地域からもお気軽にご相談ください。
動画で詳しく説明しています。
抜歯当日の流れや抜歯後の注意事項、当院の考え方について、動画でもご紹介しております。
この記事の監修歯科医師
くりもと歯科・口腔外科クリニック
院長 栗本聖之
日本口腔外科学会 口腔外科専門医
〒598-0037 大阪府泉佐野市羽倉崎上町2-3447-1 リヒト21ビル1階(南海本線 羽倉崎駅 徒歩2分)
TEL:072-466-8469
経歴
2009年 大阪大学歯学部卒業
2009年4月 近畿大学病院 歯科口腔外科 臨床研修医
2011年4月 大阪大学大学院 歯学研究科 口腔外科学第一教室 大学院生
2011年11~12月ハイデルベルグ大学 MKG(顎顔面外科) 留学
2015年4月 大阪母子医療センター口腔外科 医長
2017年7月 大阪大学歯学部附属病院 第一口腔外科 医員
2019年4月 大阪ろうさい病院 歯科口腔外科 医長
2022年4月 近畿中央病院 歯科口腔外科 医長
2023年4月 八尾市立病院 歯科口腔外科 医長
2024年4月 栗本歯科 常勤医師
2024年10月 くりもと歯科・口腔外科クリニック 開設